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働きがいも経済成長も,人や国の不平等をなくそう,その他SDGsに関する情報

花を買うことでSDGsに貢献。障がい者支援のイノベーター

2023.02.13

こんにちは。Lookatプロジェクトメンバーの瀬川 明彦(せがわ あきひこ)です。いつも当コラムをご覧いただきありがとうございます。

SDGsに取り組む際、
「どのようにSDGsと事業をからめたら良いか分からない」
「何を成果指標にすれば?」
といった声をよく耳にします。

たしかにいきなり目標を設定して成果を計測することは、簡単なことではありません。そこで今回の記事は、SDGsに取り組む企業様へのインタビューをお届けします。どのような経緯で取り組むようになり、何を指標にし、メディア露出や企業コラボレーションなどを実現しているかうかがうことで、新たなアイデアの種となることを目指します。

第一回目は、障がい者の就労支援を行う一般社団法人アプローズの代表理事、光枝茉莉子様です。

プロフィール
光枝茉莉子(みつえだ まりこ) さま
東京都福祉保健局に8年間勤務後、2014年に一般社団法人アプローズを起業。障がい者がフラワーアレンジメントの技術を学びながら働く事業所「アプローズ南青山」開設。首相公邸に定期的に花を納品するなど、福祉の新しいかたちを追求。障がい者雇用の専門コンサルタント株式会社アンフィニテの代表も務める。

一般社団法人アプローズ
http://applause-aoyama.com/

株式会社アンフィニテ
https://infinite8.jp/

花を通じたウェルフェアトレード

ーー事業内容をご紹介ください。

障がいのある方々の就労支援やグループホーム運営などを中心に行っています。

創業は2014年で、企業や個人向けにフラワーアレンジメントやブーケ等をオーダーメイドで制作する「アプローズ南青山」の開設からスタートしました。ここでは、知的障害、精神障害、発達障害を抱える方々が、フラワーアレンジメントの技術を習得しながら働いています。

事業を運営するうちに、利用者の方が住まいに困っている話を聞き、じゃあ次はグループホームを作ろうと、「アプローズHouse南麻布」を作りました。

グループホームを卒業して一人暮らしを始める方々が出ると「暮らしで抱える不安を相談したい」「定期的に訪問してほしい」など、新たなニーズが生まれます。そこで、相談支援の事業「アプローズLIVES」が始まりました。
このように、利用者の方々に合わせて自然派生的に事業が広がってきましたね。

説明する光枝さま

ーー理想的な拡大の仕方ですね。現在は、ソーシャルファームにも取り組まれていますか?

はい。ソーシャルファーム事業は、2021年に東京都の認証を受けてスタートしました。ソーシャルファームとは、就労に困難を抱える方々が他の従業員と一緒に仕事をする場所です。

2019年に東京都がソーシャルファーム条例を施行し、認証制度がスタートしました。弊社が運営する「APPLAUSE GARDEN(アプローズ・ガーデン)」は2021年6月にスタートし、現在6名のスタッフが働いています。そのうち4名が障がいを持つ方やシングルマザー、元ひきこもりの方などです。

東京都が「就労困難者」と定義しているので、便宜上は就労困難スタッフと呼ばせていただいておりますが、私たちのなかではみんな「アプローズの従業員」です。

一般社団法人アプローズ認証書

ーーアプローズ・ガーデンで制作した商品は、どちらに納品しているのでしょう?

省庁、企業の受付、ホテル、レストランなどさまざまです。省庁の仕事は、随意契約ではなく、一般の競争入札に参加し落札しています。今年でソーシャルファーム事業も3年目に入りますので、こういった省庁系のお仕事も、どんどん開拓していきたいと考えています。

また、私たちの最終目標は、就労困難な方々を社会に送り出すこと。一般企業等への就職という形で社会に出ることで、経済的に自立する後押しをしたいのです。これまでも取り組んできたことではありましたが、アプローズ・ガーデンができたことで、より皆さんを力強くサポートできるようになりました。

花に触れる光枝様

ーー花を通じた「ウェルフェアトレード」を掲げていらっしゃいますが、これはどういったことなのでしょうか?

簡単にいうと、フェアトレードの福祉版です。障がい者などの作る商品を正当な価格で購入する。それが彼らの経済的な自立、社会参加の後押しになるんです。

具体的には、アプローズでご購入いただいたお花の利益は全て、障がい者スタッフの賃金に反映されています。お花の売り上げが伸びれば伸びるほど、障がい者の方の賃金が伸びる、分かりやすい構造なんです。

社会貢献や福祉は、馴染みのない方は重たく感じてしまったり、敷居が高いと感じてしまうかもしれません。だから「お花を買うことで十分なんです」とお伝えしたいですね。

アプローズさまのお花

子どものころから、身近にあった福祉

ーー起業までの経緯についてお聞きできますか?

まず前提からお話しすると、私は障がい者支援を身近に感じる場所で育ってきました。母が特別支援学校の講師だったんです。退職した後も民間の児童発達支援事業所の職員をずっとやっていたので、「今日○○ちゃん、こんなことが出来るようになったよ」と、母が嬉しそうに話すのを見て育ってきました。

母も父も兄も全員公務員。さらに大学時代に福祉を学んでいたので、せっかくだったら都庁の中で福祉の仕事ができたらいいなと、福祉保健局を希望し入庁しました。

都内の福祉事業所を訪問した際に、障がい者の工賃の低さに驚きました。行政の立場から解決方法を考え、補助制度を作ったりセミナーを企画しましたが、いち行政職員にできることには限界があって…。自分の仕事がどの程度、現場の工賃アップにつながっているのかわからず、モヤモヤする時期が続きましたね。

ーー行政の立場で福祉と関わるなかで、工賃の低さに課題を感じていたと。

はい。また、福祉制度自体は素晴らしいのですが、障がい者の方を大切にケアするあまり、福祉のなかに囲ってしまう傾向も感じていました。例えば、特別支援学校を卒業して18歳くらいで福祉就労をして、60歳くらいまでそこで勤めるとします。しかし、その40年間で、その人は本当に一般企業に就職するチャンスはなかったのだろうか?と疑問を持ったんです。

福祉事業所で働く方のなかには能力が高い方もいます。だから、その才能を埋もれさせてはいけないと感じました。また、障がい者の方が一般就職をしてグループホームなどで自立して生活できることは、ご家族もみんな救われるんです。自分たちが亡くなった後のことを心配している親御さんも多いので…。

だから、アプローズを立ち上げた時には、障がい者の方を囲わずに社会に送り出していく事業所を作ろうと考えていました。工賃のアップと、障がい者の方々の経済的自立・社会参加を支援する。その2つを大事にしようと決めたんです。

話をする光枝様

SDGsの成果を「見せる化」し、社会に発信する

ーーこれまでのお話をうかがっていると、SDGsを意識して仕事をしてきたというより、結果としてSDGsになっていた、という感じですね。

正直なところ申し上げるとそうですね。SDGsが打ち出す理想的な社会に、私たちも同意しますというスタンスです。SDGsがいま掲げる大きな目標のうち「働きがいも経済成長も」「人や国の不平等をなくそう」あたりがアプローズが該当するカテゴリです。

ただ、そのSDGsの目標に沿って活動をしている訳ではなく、私たちの事業を通じて障がい者の方々が成長し、社会に出ていくことが「おそらくSDGsとして評価されるであろう」という感覚です。

だから、特別なことをしているつもりはありません。私たちの日常の営みが自然にSDGsの成果につながっていると捉えています。皆さんの日常も、何かしらがSDGsにつながっているはずです。そう実感しやすくなる仕組みがあるといいなと思いますね。

それもあって、Lookat(ルカット)さんが提供するソーシャルメーターで、SDGsのKPIを「見せる化」できるというのは驚きでした。私たちはお花を買ってもらうことが社会貢献になります。ただ、企業様からすると「理念はわかるけど、それが本当にどの程度役に立っているのかわからない」みたいな話になるんですね。

Lookat.ソーシャルメーター画面イメージ

※画像はLookatソーシャルメーターの入力イメージです

ーー現在は、SDGsや自社の取り組みをどのように社会へアウトプットしていますか?

まさにそこに課題を感じています。弊社の理念は、皆さんすごく理解してくださっている実感がありますが、その一歩先も届けたいのです。現在は、アプローズの活動をわかりやすく「見せる化」し、社会に向けて表現する術を持っていません。

私自身、数値化が苦手なタイプ。講演などでお話しする際も、ふわっとした理念を語るに終わってしまうことがあります。「こういう協力をしていただいたことで、こんなことができました」と、成果やPRをわかりやすい形でお伝えできたらいいですね。

Lookatさんのサービスのお力をお借りすることで、私たちのお客様にも、社会貢献の価値と成果を実感していただけたらと考えています。

アプローズ様のお花

ーーSDGsに関して、何から始めれば良いか悩んでいる方にアドバイスをするとしたら?

自分自身で社会課題に気づけることが一番理想的ですが、小さな取り組みが周辺にたくさんあれば、気付けるきっかけも増えるはずです。大袈裟に考えず、ただ一輪の花を買うだけといったような、気楽な心持ちで良いのではとお伝えしたいですね。

ーーSDGsが注目されるようになって、思いがけずメディア出演のオファーやコラボレーションが実現したことはありましたか?

取材がすごく増えました。もともと取材を受けることはありましたが、SDGsが広がり始めてから、これまで関わりの少なかった新聞社さんや生活系の雑誌社さんからもご連絡いただくことが増えましたね。

企業コラボレーションにもつながっています。最近では、オルビスさんにお声がけいただいて会員様向けにワークショップを開催させていただいています。APPLAUSE GARDEN(アプローズ・ガーデン)の取り組みを伝えながら一緒にフラワーアレンジメントを作って、理解を深めていただくんです。

スタッフの働きやすさと成長のバランスを見極め、進む

ーー今後の展望をお聞かせください。

アプローズ全体の活動はもちろん、ソーシャルファームAPPLAUSE GARDEN(アプローズ・ガーデン)をもっと広げていくこと。認知度を高めて、色々なお客様からガーデンのお花を買っていただきたいですね。

ただ、事業拡大をしすぎると現場の仕事が回らなくなってしまいます。契約が増えるのは、瞬間的にスタッフの負荷が増えることです。環境が変わればストレスも増えるでしょう。配慮が必要な方も働いているので、あまり想いだけで先走ってもいけません。バランスを学びながらやっています。

売上だけ見るのではなく、アプローズのスタッフの皆さんと、少しずつ歩みを進めていきたいですね。

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