社会的インパクトとは?SDGsの社会的インパクトと評価方法
近年、ビジネスや社会活動において、SDGsへの貢献が求められています。
企業は、SDGsの社会的インパクトを考慮することで、より具体的かつ計画的に事業目標の達成を目指すことができます。
この記事では、社会的インパクトとは何か、SDGsの社会的インパクトと評価方法について紹介します。
社会的インパクトとは?
社会的インパクトとは、「短期、長期の変化を含め、当該事業や活動の結果として生じた社会的、環境的なアウトカム」のことです。(内閣府「社会的インパクト評価の推進に向けて―社会的課題解決に向けた社会的インパクト評価の基本的概念と今後の対応策について―」<平成28年3月>を引用)
具体的には、社会課題の解決や社会的価値の向上による社会的変化、環境や資源の変化などが含まれます。
近年、社会的インパクトがビジネスや社会活動において重要な概念とされる背景には、いくつかの要因があります。企業や政府などが社会的責任を果たすことが求められるようになったことや、SDGs(持続可能な開発目標)が国際社会の共通の目標として採択されたこと、消費者の社会活動に対する意識の高まりが挙げられます。
2016年には、社会的インパクトの評価やマネジメントの普及を目的とした「SIMI(社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ)」が活動を開始しました。これにより、社会的インパクトに対する必要性がますます高まっています。
社会的インパクト評価とは?目的と必要性
社会的インパクト評価とは、事業や活動の社会的インパクトを測定し可視化し、その価値を判断することです。社会的価値の可視化は、事業の機会とリスクの把握につながり、投資家に有益な情報を提供できることから、非常に重要視されています。
社会的インパクト評価は、事業のアウトプット(成果)に留まらず、事業の成果がもたらした変化や利益などのアウトカム(結果)、そしてアウトカムに至る論理的な根拠の明確化が重要です。
評価は定性的および定量的な手法を用いて行われ、社会的、環境的、経済的な側面から総合的に評価されます。
社会的インパクト投資とは?注目される理由
社会的インパクト投資とは、経済的リターンを得るだけでなく、社会や環境にポジティブな影響をもたらす投資を指します。従来のリスクとリターンに加えて、インパクトを考慮した三次元評価に基づいて投資判断を行う必要があります。
社会的インパクト投資は、貧困や格差の解消、地球環境の保護など、社会や環境の課題に取り組むプロジェクトや企業に投資することができるため、社会貢献を目指す投資家の注目を集めています。投資市場は拡大し、多様化しています。
インパクト投資には、次の4つの要素があります。
1.社会・環境の課題解決を意図すること
2.社会的リターンと財務リターンの両方を目指すこと
3.幅広いアセットクラスを含むこと
4.社会的インパクト評価を行うこと
社会や環境問題に取り組む企業は高く評価されるため、長期的で安定的なリターンが期待されます。ただし、他の投資と同様に、必ずしもリターンを得ることができるとは限りません。また、従来のリスクとリターンに加えて、インパクトの評価が必要となるため、投資先の選択は容易ではありません。
日本企業の社会的インパクト評価の事例
経済状況の変化により、資金提供者はこれまで以上に社会的インパクトの成果を求めるようになりました。社会的インパクト評価は国際的なトレンドとなり、需要が高まっています。
社会的インパクト評価には一定の評価コストが必要であり、専門的な知識や技能も求められます。解決策には、知見の蓄積や公開、教育機会の提供、ICTツールの導入による評価コストの削減などが挙げられます。
日本企業における社会的インパクト評価には、次のような事例があります。
事例は、内閣府の「社会的インパクト評価に関する調査研究」(https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/social-impact-hyouka-chousa-all.pdf)を引用しています。
事例1.タケダ-Plan 保健医療アクセス・プログラム
武田薬品工業株式会社と国際NGOプラン・ジャパンは、2009年から2014年にかけて、子供の保健医療環境の改善を目的とした「タケダ-Plan 保健医療アクセス・プログラム」を展開しました。このプログラムでは、ヒアリング調査などを通じて収集された評価結果を、内部評価において第三者保証を実施しながら、インプット、アウトプット、アウトカム、インパクトの4つのカテゴリーに整理しています。
事例2.株式会社 キャンサー・スキャン
がん検診や特定検診の受診率向上を目的とした事業など、予防医療・保険事業分野でサービスを展開する企業です。受診率向上を目指す事業では、次の5つのステップで事業の効果を測定しています。
1.全世界のエビデンスレビュー
2.ターゲットを特定したマーケティング調査
3.メッセージ開発
4.介入
5.効果測定
評価は全て社内で行われており、科研費や行政からの受託費で評価コストを賄っています。
事例3.公益財団法人 日本財団
助成事業の一部では、外部の専門家による評価が行われています。2014年度には、特定非営利活動法人土佐の森・救援隊が受けた助成事業において、機材の整備によってもたらされたアウトプット(自伐林家養成塾の開催回数・受講人数、森林整備ボランティア参加人数など)や、アウトカム(自伐林家の就労機会獲得による収入増加、土佐ノ森・救援隊の売上など)を計測・評価するため、第三者評価機関による評価が実施されました。
社会的インパクトの評価方法
社会的インパクト評価は、多くの組織によって様々なガイドラインやフレームワークが開発されています。プログラムの性質や目的に応じて、適切な方法を選択することが重要です。
「G8社会的影響投資タスクフォース」は、計画、実行、評価、検証の4つのフェーズと7つの評価ステップを示しています。
1.計画(Plan)
ステップ1.実践に向けた準備
ステップ2.ロジックモデルをつくる
ステップ3.評価するアウトカムを考える
ステップ4.指標・測定方法を考える
2.実行(Do)
ステップ5.データを収集する
3.分析(Assess)
ステップ6.データを分析する
4.報告・活用(Report&Utilize)
ステップ7.報告する。事業改善につなげる
SIMI(社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ)は、GSG国内諮問委員会によって開発された「社会的インパクト評価ツールセット」の実践マニュアルをウェブサイトで公開しています。
SDGsの社会的インパクトと評価方法
社会的インパクトのアウトカムをSDGsと関連づけることで、事業のSDGsへの貢献度が明確になります。国連開発計画(UNDP)が主導で開発した「SDGsインパクト基準」は、投資家や事業者がSDGsに貢献しながらインパクトの管理と意思決定に重点を置ける実践的なツールです。SDGsインパクト基準は、戦略、アプローチ、透明性、ガバナンスの4つの要素で構成されています。
国連開発計画(UNDP)は、「SDGsを達成するための意図とアクションの間を繋ぐべき知識が欠けていたことから、その隔たりを埋めることを目的として策定した。」と述べています。また、「SDGsを単なる“付け足し”ではなく、すべての事業活動の運営指針の核と捉えてもらうことを目指しています。」とも述べています。」と宣言しています。
社会的インパクトに関するよくある質問
社会的インパクトとは何ですか?
社会的インパクト評価とは、事業や活動の社会的インパクトを測定し可視化し、その価値を判断することです。社会的価値の可視化は、事業の機会とリスクの把握につながり、投資家に有益な情報を提供できることから、非常に重要視されています。
社会的インパクト評価とは何ですか?
社会的インパクト評価とは、事業や活動の社会的インパクトを測定し可視化し、その価値を判断することです。社会的価値の可視化は、事業の機会とリスクの把握につながり、投資家に有益な情報を提供できることから、非常に重要視されています。
社会的インパクト投資とは何ですか?
社会的インパクト投資とは、経済的リターンを得るだけでなく、社会や環境にポジティブな影響をもたらす投資を指します。従来のリスクとリターンに加えて、インパクトを考慮した三次元評価に基づいて投資判断を行う必要があります。