優秀な専門家は問題解決できない事実
我々の社会には様々な問題があります。
しかし、多くの問題は解決されてきました。現在、新型コロナウイルスはオミクロン株に変異し、第六波と言われる感染拡大を世界中に展開させておりますが致死率が50%もあった天然痘は根絶しています。
「独眼竜」で知られる伊達政宗も右目を失明下のも天然痘だそうです。吉田松陰、夏目漱石も天然痘にかかってます。
昨年(2021年)に開催された東京オリンピックのですが、その前の1964年大会前はゴミを道や川に捨てるのは当たり前で東京オリンピック開催に向けて東京のゴミは大きな問題だったとのことです。しかし、現在は道端にゴミは殆どありませんし、川にゴミを投げ入れる光景も見ません(一部あるかもしれませんが)。私が子供の頃は燃えるゴミは庭で燃やしていました。現在はまずゴミを燃やしている光景は見ません。
これら過去の問題は、専門家が解決していったのでしょうか?
答えは「Yes」です。
これらの問題は専門家が解決できた問題と言えると思います。当たり前ですが、専門家がゴミを拾い集めたわけではなく、ゴミ捨ての仕組みを作っていったことによるものです。
これらの問題は”答え”があった問題と言えます。だから解決できたのです。
現在の問題は、”答え”がない問題であることはみなさんご承知のとおりです。この”答え”がない問題は、優秀な専門家=豊富な知識では解決できないのです。
SDGsの取り組みも、”知識”の習得は必要です。しかし、豊富に知識を習得しても、”答え”がないSDGsは解決できません。
必要なのは「知性」です。
「知識」と「知性」の違い
広辞苑によると「知識」と「知性」はこのように書かれています。
ち‐しき【知識・智識】識】
①ある事項について知っていること。また、その内容。「豊富な―」
②〔仏〕
㋐物事の正邪などを判別する心のはたらき。
㋑正しく教え導いてくれる指導者。高僧。善知識。
㋒寄進すること。また、その人たち。
③〔哲〕(knowledge イギリス・Wissen ドイツ)知られている内容。認識によって得られた成果。厳密な意味では、原理的・統一的に組織づけられ、客観的妥当性を要求し得る命題の体系。伝統的に信念(ドクサ)と区別され、「正当化された真なる信念」と定義される。
④知己。しりあい。
⑤ものしり。※広辞苑より
ち‐せい【知性】
①頭脳の知的な働き。知覚をもととしてそれを認識にまで作りあげる心的機能。「―に欠ける」
②〔心〕広義には知的な働きの総称。狭義には感覚により得られた素材を整理・統一して認識に至る心的機能。※広辞苑より
「知識」は正しさを導くもの。正解、不正解の二択を出すものが「知識」であり、正解、不正解がそもそも存在する場合のみに威力を発揮するものです。学校のテストは正解、不正解を明らかにするものなので「知識」で対応できます。
「知性」は認識まで導くもの。これは難解です。知覚をもとにして認識にまで作り上げる。”作り上げる”には何度も何度もの意味があります。知覚をもとにして、それを問い続けて正解か不正解かわからないが認識まで持っていくものだと言えます。
答えのない問題を「知識」で解決しようとすると失敗する
仕事のトラブルは、みなさんも多かれ少なかれ経験していると思います。
輸送用のトラックがエンジントラブルで高速道路で動けなくなった、とします。
「知識」をもとにすれば状況確認、牽引車を向かわせる、修理工場へ持っていく、修理完了。
「知性」をもとにすれば、修理完了までのプロセスに運行前点検の不備がなかったのか? 同じトラックを調査しなくては。 ドライバーの業務手当。 今後も発生するかもしれない、保険を見直す。 事前に検知する方法はないのか。
など壊れた➡修理。で完了はせずに次々に知覚から、包括的な認識への問いを出し続けて対処していくことが出来ます。
ここで問題になるのは「知識」で問題を解決すると「まあ、こんなこともあるさ」で割り切って終わってしまうことです。もしかしたら大事故に繋がったかもなどと考え抜くことはないです。これが「知識」を問題解決でつかうことのワナです。
その裏には、このドライバーは問題だ事務職に配置転換させるか。などと責任を人に押し付けて根本解決は何も生まれない点です。
「知性」は上下左右、過去未来と空間的、時間的な幅で統合して考え続ける力です。答えのない問題はこの「知性」でしか解決できないのです。
「知性」を高めるには?
”問い”を出し、”考え”、”試して”、”問い”を出して・・・しかない。
この連続的な活動こそが、SDGsには必要と考えます。メディアが発信する情報を見て満足するのではなく、それを知覚として、解像度を問いであげていく。
一人で黙々とやるのではなく、仲間と対話し、問いを紡いでいく。仲間も異質な仲間の方が楽しいでしょう。
Lookatで「知性」を磨く
Lookatは、SDGsの見せる化をITツールで実現しています。しかし、ただのITツールだけでは面白くないです、作業になってしまうので。Lookatは異業種、他社との対話、情報交換、関わり、紡ぎを大事にしています。
「Lookat」では知識はそれほど提供していません。
「Lookat」はSDGsに取り組む知性をサポートし、答えのない、自分ごと化しにくい、SDGsを楽しみながら勧めていくサービスとなっています。
ぜひ、一緒に取り組んでいきましょう!
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編集
葉葺 真一
ワークショップデザイナー(青学29期)、2030SDGsゲーム、PLAYFOOL、哲学シンカー、LEGO® SERIOUS PLAY®メソッドと教材活用トレーニング修了認定ファシリテータなどの認定ファシリテーター
企業でのSDGs活動が管理部署(SDGs統括部門やCSR部門)のみで実施され、全従業員が自分ごと化していない状況、所属する企業のSDGsと消費者としてのSDGsと2つの仮面をかぶっている状況にも大きな疑問がある。多くのワークショップを実践する経験を活かし、安心安全な環境で対話を中心としたデザインととITサービスビジネスのデザインを組み合わせてLookatを発案企画。
Lookatは「意味」を提供するサービスとして展開していきたいと考えてます。
メール:habuki@infocom.co.jp